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2022.04.01
汎骨炎(犬)
福岡県西区/糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「汎骨炎(犬)」です。
7ヶ月齢のフレンチブルドッグくんが約3週間前より左後肢をあげている(跛行)ということで当院に来院しました。
レントゲン検査をおこなったところ、
左脛骨の髄腔の骨濃度の上昇(矢印)が認められました。
(骨の中まで白いということです)
痛みのない正常の右脛骨と比べてみてください。
汎骨炎とは原因不明ですが、骨の内部で炎症を起こす疾患で、
一般的に大型犬、若齢(2歳未満)に多いといわれています。
まれに中型犬・小型犬でも発症することがありますので、
慢性的な跛行がある場合は鑑別に入れる必要があります。
汎骨炎は通常、2歳齢になるまでに完治(自然治癒)します。
なので、治療は痛みのコントロールです。
このフレンチブルドッグくんも消炎剤で痛みがなくなり、完治しましたよ。
ここで汎骨炎を診断するポイントは痛くない方の右後肢のレントゲン検査をすることです!
左右の後肢のレントゲンを見比べて評価しないとわかりにくいですよね。
犬猫において、骨のレントゲン検査は品種によって骨の大きさや形が違うので、難しいのです。。。
ご理解いただければ幸いです☆
2022.02.16
犬の鼻腔内異物(綿)
福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「犬の鼻腔内異物(綿)」です。
以前にも鼻腔内異物を紹介しましたが、最近多くなっているような気がしますので、ご報告します。
8歳齢のノーフォークテリアちゃんが2週間前より鼻が鳴るということで来院しました。
食欲や元気はあるのですが、食後や興奮すると鼻を鳴らすとのことでした。
診察中にも「フッフッ!」と鼻を鳴らして、また左鼻より鼻水、くしゃみもありました。
たまに鼻水に血が混ざっていることもあったそうです。
頭部レントゲン検査をしましたが、明らかな異常はありませんでした。
抗生剤による治療をしましたが、改善が認められないことから、鼻咽頭内視鏡検査をおこないました。
鼻咽頭内視鏡画像:左鼻腔にフワフワしたものがありました!(矢印)
*鼻咽頭内視鏡は上下左右が反転します☆
バイオプシー鉗子を用いて摘出しました。
1週間後には鼻を鳴らす症状は全くなくなり、くしゃみや鼻水も改善しました。
話をよく聞くと、いつもソファーのクッションをよく噛みちぎって遊んでいたそうです。
おそらく、遊んでいるときに、クッションを吸い込んでしまったのか?もしくは食べてしまって吐き出すときに鼻に入ってしまったのか?でしょう。
急に鼻を鳴らす、くしゃみ、鼻水が出たときは、まれかもしれませんが、鼻腔内異物も考えておきましょう!
ワンちゃんも「鼻うがい」できたら・・・・無理でしょうね💦フッ
2022.01.18
皮膚の形質細胞腫(犬)
福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「皮膚の形質細胞腫(犬)」です。
形質細胞とはプラズマ細胞とも呼ばれています。形質細胞はBリンパ球が最終段階まで分化した細胞です。この形質細胞が腫瘍化したものを形質細胞腫と呼びます。
犬における皮膚の形質細胞腫は老齢で発症し、発生部位は体幹、頭部や四肢で、特に耳や指先に多いといわれています。
肉球の間に発生した形質細胞腫(矢印)。
皮膚の形質細胞腫の多くは「赤いできものができた!」と気づいて連れてこられます。
細胞診をおこない、核が偏在した独立円形細胞が多数採取されると診断可能です。
皮膚の形質細胞の治療は外科手術により摘出で、予後は良好です。
たいていのワンちゃんは指先を触ると嫌がりますが、
肉球の間にも腫瘍ができることがありますので、日頃から肉球チェックもしましょう!
毎日、肉球を触って、褒めてご褒美をあげていると、徐々に慣れてくれますよ☆
2021.12.07
LGL:大顆粒性リンパ腫(猫)
福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「LGL:大顆粒性リンパ腫(猫)」です。
リンパ腫とは骨髄以外のリンパ器官などの組織を原発とする腫瘍性増殖疾患のことで、猫さんに最も多くみられるガンです。
このリンパ腫の中にLGL:大顆粒性リンパ腫があります。
猫のリンパ腫の7.5~15%がLGLであり、リンパ腫の中でも予後が最も悪いタイプです。。。
LGLの特徴はリンパ球の細胞質内に複数のアズール顆粒(赤紫色の顆粒)を持っていることです。
14歳齢の猫さんが約1週間前より食欲不振、吐くということで来院しました。
腹部超音波検査により腸間膜リンパ節が腫れていること以外は特に異常はありませんでした。
血液検査をおこなったところ、血液塗抹検査によりLGLの形態を示すリンパ芽球が多数確認されました。
(血液塗抹検査とは血液を薄くのばして、染色して顕微鏡で血球の形態観察する検査です。)
LGLの可能性があったため、麻酔下において腹腔内リンパ節や肝臓の細胞診検査をおこなったところ、血液検査と同様なリンパ芽球が認められました。
血液検査がきっかけでLGLと診断することができました。
今回の猫さんのように血液検査により腫瘍細胞が分かることがありますので、血液塗抹検査も重要な検査です!
血液検査には時間がかかり、待っていただかないといけませんが、とても有用な検査なので、ご理解をお願いいたします☆
2021.11.07
ジョイントマット:腸閉塞(猫)
福岡市西区/糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「ジョイントマット:腸閉塞(猫)」です。
動物はときに信じられないものを飲み込んでしまうことがあります。。。
猫さんはたいていグルメなので、食べ物以外のものは食べませんよね。
しかし、最近猫さんで誤飲が多いのはジョイントマットです!
ジョイントマットは消化ができませんので、吐いて出してくれるといいのですが、
腸に流れて詰まってしまい、腸閉塞を起こすこともあります。
腸閉塞は超音波検査で見つけることができます!
ジョイントマットによって腸閉塞が起こした超音波所見。
緊急手術で摘出したジョイントマット。
猫さんを飼っている方は気をつけてください!
もし、食べてしまったときは動物病院に相談してください。
実は僕の飼っている猫もジョイントマットを食べたことがあります(^0^;)
猫さんはジョイントマットの食感が好きなのかな・・・?
2021.09.27
猫の口腔内扁平上皮癌(緩和治療)
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「猫の口腔内扁平上皮癌(緩和治療)」です。
猫における口腔内(口の中)に発生する癌で一番多いのが扁平上皮癌です。
口腔内扁平上皮癌は広がるスピードが早く、骨まで浸潤することも多い恐ろしいガンで、発生すると口腔粘膜や骨に痛み(疼痛)が出てきて、食欲が落ち、よだれ(流涎)や出血も認められるようになります。
残念ですが、根治は難しく、治療をしても予後は2~3ヶ月と報告されています。
しかし、何も治療ができないわけではありません!
ガン治療において、完治できなければ意味がないわけではありません!
ヒトと同じように緩和治療があります。
緩和治療とは痛みを緩和させ、そして痩せさせず、なるべく良い状態(生活の質)で生活できるようにする治療法です。
当院では緩和治療を積極的に取り入れて、動物が少しでも快適な生活ができるように目指しています。
ものを言えない動物も痛みを感じます。
末期ガンであっても、最後は痛みだけでも取り除いてあげたいと思いますよね。。。
2021.08.14
犬の漏斗胸
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「漏斗胸(犬)」です。
漏斗胸は胸骨と肋軟骨の奇形の一つです。
胸骨が胸腔内方へ向かって陥没して漏斗状となる病態で、犬では比較的まれな疾患です。
原因は不明で、横隔膜腱中心の短縮、横隔膜頭側部の筋肉組織の先天的欠損、母体の子宮内圧異常などが考えられています。(ちょっと難しいですよね。すみません(^0^;))
胸腔が狭くなるので、重度の場合は呼吸や心機能に影響を与え、緊急手術が必要になることがあります。
生後23日齢のゴールデンレトリバーです。
呼吸困難のため、緊急外科手術が必要となりました。
外観所見:胸骨が陥没している(矢印)
外スプリントによる治療
手術前のレントゲン写真
手術後のレントゲン写真
手術して元気になりました♬
徐々に悪化するケースもあり、症状がある場合は早期矯正をおすすめします!
2021.06.07
腎臓リンパ腫(猫)
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「腎臓リンパ腫(猫)」です。
猫では高齢になると、慢性腎臓病になっていることが多いです。
まれではありますが、腎臓腫瘍という場合もあります。
猫において腎臓腫瘍の発生率は低く、あまり多くはありませんが、腎臓腫瘍の多くは悪性腫瘍で、そのほとんどがリンパ腫(腎臓リンパ腫)であると報告されています。
また、不思議なことに多くは両側性に発生することが知られています。
腎臓リンパ腫で最も多く認められる異常所見は腎腫大です。
レントゲン検査や超音波検査により異常所見が認められます。
レントゲン検査により腎腫大を確認。
超音波検査により腎臓に腫瘤(矢印)を確認。
また、腎臓リンパ腫において、特徴的な所見として、約40%が中枢神経系に転移することです。実際、後肢麻痺で来院して、腎臓リンパ腫が見つかったケースがあります。
猫さんも健康診断の際は、血液検査だけでなく、画像検査も一緒にすることが重要だと考えています!!!
2021.05.18
砂:誤食(犬)
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「砂:誤食(犬)」です。
犬において、砂を食べてしまう子がいます。
いろんな原因で砂を食べてしまうのですが、多くは食べ物が落ちていて、
それと一緒に砂を食べてしまいます。
特に砂浜でBBQのときに事件は起きます。
砂を食べ過ぎると食欲不振、嘔吐、下痢などの症状を示します。
一般的に砂を食べたとしても、点滴などの内科治療で改善します。
しかし、まれに完全に腸閉塞を起こすことがあります!
経験的には回盲部(盲腸の手前)で詰まってしまいます。
診断はレントゲン検査により、どれだけ食べているかがわかりますので、
食べてしまったときは動物病院で受診してください!
でも、やっぱり、食べさせないようにすべきでスナ(^0^;)
2021.03.13
魚の骨:咽頭異物(猫)
福岡市西区・糸島市:かじ動物クリニックです。
今回のテーマは「魚の骨:咽頭異物(猫)」
あやまって飲み込んだものが喉にひっかかってしまう状態を咽頭異物と言います。
ヒトの咽頭異物は、特に日本では魚の骨が圧倒的に多いといわれています。
僕も魚の骨が喉に引っかかったことがあります(^0^;)
漁港の町の野良猫さんは、漁師さんから余った魚をもらって生活しています。そんな野良猫さん達は魚の骨が刺さって苦しむことがあるのでしょうか?たいていはうまく吐き出して過ごせると思います。
しかし、猫でも極まれに魚の骨がひっかかることがあるんです!
6歳齢のマンチカンが2日前に魚を食べてから、喉にひっかかった感じで、食べても吐き、また元気もないということで来院しました。
レントゲン検査をしてみると
喉に骨が確認されました。
全身麻酔下で確認したところ、
無事に摘出して、出血などもなく退院できました。
この魚の骨はクロダイでした!
鯛の骨のような大きくて硬い魚の骨は、猫でも喉にひっかかることがあるので、あげない方が良さそうですね!